
<神様>
おーい、おーい、さとじはおるかぁ?
おーい、おーい・・
<さとじ>
な、何事です?
今、何時だと思っておられるのですか?
<神様>
おー、すまんすまん
<さとじ>
いったい、どうしただいね?
<神様>
それがなぁ、先日のおぬしの狐につままれた顔を思い出してのぉ、おかしくて眠れないのじゃよ・
<さとじ>
なんの話です?
だいたい、神様ってもんも、眠るんですかいね?
<神様>
わしとて眠たい時は眠るぞよ・
<さとじ>
はいはい、そうですか・。
それで、何ですか「狐につままれた」って?
<神様>
こないだのこと忘れたとは言わさんぞ。
<さとじ>
こないだのこと?
<神様>
そうじゃ、こないだのことじゃ。
おぬしは、いつものように出社し、コーヒーをすすりながら、今、行われている職業訓練の、朝の挨拶をどうしようか、考えておったであろう。
<さとじ>
・・・あっ、あの時のことですか?やめてくださいよ。
もう終わったことではないですか・
<神様>
よいではないか。
授業開始1分前の8時59分におぬしのスマートウォッチがブルブルなったな。
そちは、立ち上がって教室に向かった。
朝礼の挨拶は、NHK朝ドラ(べっぴんさん)のことを話そうと思っていたであろう。
そちは、教室のドアを開ける時いつも緊張しておるな。
開講式の時、そちは、受講生に3つの約束をするようにお願いしておるな。
1.泣き言を言うな「泣き言禁止」
2.人と比べるな、昨日の自分と比べよ
3.朝の挨拶の時は、さとじの顔をちゃんと見て、良いお顔で元気よく挨拶せよ
そうであったな?
<さとじ>
えぇ、まぁ・・
<神様>
そちは、その日も元気よく「おはようございます!」と言いながらドアを開けたのじゃ・・。
良いお顔がいつものように迎えてくれるのを期待しつつのぉ・。
<さとじ>
・・・・
<神様>
・・その時のおぬしの間抜けの顔ったら、なかったぞ・。
<さとじ>
やめてくださいよ・ったく。
<神様>
なんと、教室に誰もいないじゃん!
うす暗いひんやりした教室が目の前に広がっておった・。
そちは、一瞬のうちに、ボイコットという事態をイメージしたであろう、顔がひきつっておったぞ・。ははは
<さとじ>
もう、いいではないですか・。
<神様>
ドアの取っ手を握ったまま、しとっきら、ぼーとしておったのぉ。
今日が土曜日で授業は休みだということに気が付くまで、1分ぐらいかかったんじゃないの?
<さとじ>
お、おら、泣きたかったです・
<神様>
まぁまぁ、よいよい、そういうこともある。
そちのカレンダーには赤い日がないからのぉ、年中無休土日祝日年末年始、一切関係ないからのぉ。
なので、そういうこともある、気にせんでもよいぞ。
<さとじ>
気にはしないように努めておりますが、なんか、気になるんです。
なんか、すげぇ恥ずかしい、こんな間抜けなセンセでいいだかやぁ・・申し訳ないような、情けないような・・
お医者様にみてもらったほうがいいかいね?
<神様>
気にするなと申しておる。
それにしてもおかしかったぞよ。
<さとじ>
はいはい、神様、もういいでしょ。おら、へ、寝る。
3:20
(2017/2/28記)
“第127回 さとじ狐につままれる” への 1 件のフィードバック